お と う と 。
だけどどうしても文句を言いたくて、あたしは皮肉を言った。
「お父さん、付き合っている人がいたんだね。あたし知らなかった」
「知らなくていいだろう。知る必要があるのか」
「そりゃないけど。再婚するってこと、その人は知ってるの?納得してるの?」
「ああ、彼女とはもう話し合って決めている。あっちも納得済みだ」
「ふぅん。……でもその人もかわいそうだよね。あたしみたいな、大学生にもなる娘がいきなりできるんだもん」
「いいや、実は向こうにも子供がいるんだ。彼女はバツイチでね、今年高校2年になる男の子がいる」
子供?男の子?
あたしはその言葉を反復した。
それってもしかして。
もしかしなくても。
「沙耶、お前には弟になるな」
「弟…?」
ちょっと待ってよ。
そんなの聞いてない。