破天コウ!
一章 契約者

中二病

 皆さんは俗に言う中二病という名の、それはそれは恐ろしい病気をご存じであろうか?

 あれは碌なものではない。あれに侵されてしまったが最後、下手をすれば一生モノの大恥をさえかいてしまう事態に陥りかねない。

 症状は酷く明快である。

 簡単に言えば“一般的男子中学二年生が陥りがちな痛い行動及び思考形態”とでもなるのであろうか。

 症状は明快だとは言ったが、細かく見ればこれ、多岐に渡るのである。

 このおれ、京極ユーキも昔は大変重い中二病の苦しんだものである。

 中二病とはいうものの、おれの場合は小学五年生辺りの頃から大いにこれに侵されていた。
 発症したのは、もっと早く、小学二年生の頃からおれの身体は既に蝕まれていたのかも知れない。
症例として、おれのものをご紹介しよう。

 時々、言わば幽霊とでもいうべき存在を、おれは感じ取ることが出来るのだ。

 金縛りにあう夜は、寝る直前に、おれの寝室へと至る二階への階段をやつらが上ってくるのを感じるのである。

 よく、次の日の朝に自慢したものだ。

 「おれ、金縛りに遭う日って気配でわかるんだよな。昨日も何か感じるな、と思ったら予想通りに二回も金縛りに遭ったよ」と。

 「ぼくは金縛りにあうのを予言することができます」だなんて、文集に堂々と書いた覚えもある。

 おれ自身は金縛りに遭ったことが一度たりとも無いのに。
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