破天コウ!
 まあ、“あの大学では単位が雨あられの如く降ってくる”という最早都市伝説ともいうべき噂を真に受けたのもあるにはあるけれど。

 あと、巷の話ではこの大学はとにかく自由に過ごせるという話も聞いていた。

 会場の正面に着くと、更に多くの人々でごった返していた。見れども見れども、人、人、人。

 殆どは新入生とその保護者だっただろうが、上級生も結構多くいた。

 入学式前にもやっていた、部活やサークルの新歓チラシを熱心に配っているのだろう。中には、袴やらアメフトの防具やらで、何をしているか団体か見ただけでわかる連中も結構いた。

 新入生用の入口に近付くと、その上級生が集まっていて、風に舞う桜の花びらのようにチラシを新入生に撒き散らしている。

 どうせ配っているあのチラシの半分以上が無駄な紙屑となるのに、エコが大いに叫ばれるこの時代になんたる愚行を、なんて思いつつ。

 無駄な思考にエネルギーの大半を使っていると、おれのズボンのポケットの中で、携帯電話が震えた。

 見ると、浪人時代を一緒に闘い抜いた仲間、オーウェソこと、大植(おおうえ)からの電話だった。戦い抜いたとはいっても、正直、浪人中のおれは楽しいことをした記憶しかないのではあるが。
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