破天コウ!
おれはわざと携帯電話の通話ボタンを押すのを少しだけ待ち、待ちうたに設定してある某アニメの主題歌『残酷な天使の云々』を相手に存分に聞かせてから、電話に出る。
「Yです」勿論、右手の人差指と親指の先だけで挟むようにして携帯電話を持っている。
『……ユーキ君、だよね』電話の相手が若干不安そうに聞く。
「当り前じゃん」おれは騒音から逃れる為に、会場入り口の列から少し離れるように歩く。
『良かった。相変わらず、あの中二病とかいうやつ?』オーウェソは笑いながら言う。
「失敬な! おれの中二病は随分昔に克服されている!」浪人仲間としてはこれ以上仲の良かったやつはいないといえる程に仲の良かった友達。
そいつからの久々の電話に思わず大きな声を挙げてしまったおれに、周囲の人々からの怖い視線が鋭く突き刺さる。
『あはは、そっか、ごめんごめん。でさ、今日確か、京大の入学式だよね? 誰か、面白そうな人、いた? いつも言ってたよね、この世には面白いやつが全然いないって』
言われてみて、おれは周囲を見渡した。
相変わらず、物凄い人だかり。でも、一見して面白そうなやつはいなかった。みんな、人生を謳歌しています、楽しいですよみたいな顔をしている。
「Yです」勿論、右手の人差指と親指の先だけで挟むようにして携帯電話を持っている。
『……ユーキ君、だよね』電話の相手が若干不安そうに聞く。
「当り前じゃん」おれは騒音から逃れる為に、会場入り口の列から少し離れるように歩く。
『良かった。相変わらず、あの中二病とかいうやつ?』オーウェソは笑いながら言う。
「失敬な! おれの中二病は随分昔に克服されている!」浪人仲間としてはこれ以上仲の良かったやつはいないといえる程に仲の良かった友達。
そいつからの久々の電話に思わず大きな声を挙げてしまったおれに、周囲の人々からの怖い視線が鋭く突き刺さる。
『あはは、そっか、ごめんごめん。でさ、今日確か、京大の入学式だよね? 誰か、面白そうな人、いた? いつも言ってたよね、この世には面白いやつが全然いないって』
言われてみて、おれは周囲を見渡した。
相変わらず、物凄い人だかり。でも、一見して面白そうなやつはいなかった。みんな、人生を謳歌しています、楽しいですよみたいな顔をしている。