破天コウ!
 今更、さっきのは冗談でした、ボクは中二病なんです、そのせいで血迷ってあのようなことを口走ってしまいました、だなんて口が裂けても言えない。

 ええい、ままよ!

 こうなれば本当に目的地に行き着くしかあるまい。頑張れ、おれ。いつか、嘘が本当になるように――。くそう、なんか名言っぽいこと言っているのに、今のおれは精いっぱいダサいな。

 おれは怪しい足取りで歩きながら、チラチラと後ろを見ながら彷徨う。ずっと、ミリちゃんは背後で微笑んでいた。いや、しかし本当に可愛い。

「あの」突然ミリちゃんが声を出した。「まだもう少し掛かりますか? もうそろそろホームルームが始まっちゃう時間だと思うんですが……」

 痛い所を突いてくる。申し訳ない、おれは開始時間すら知らんのだ!

「え、ああ……もうすぐです、もうす」ここまで言って、おれは口を開いたままで言葉を失った。

 奇跡が、起こったのである。なんと、おれのすぐ右側の古い建物が目的地だったのだ。

 その古い建物の入口には、真っ白い紙が貼られていて、大きく黒い字でこう書かれていた。『T2 ホームルーム教室』と。

「つ、着きましたよ、あれです」

 おれはミリちゃんの方へと向き直り、右側を指差した。
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