破天コウ!
 いや、正直なところ、したいという声もおれの心の隅の方でチラホラ聞こえてはいるよ。高校の制服着て大学行くなんて、目立ちまくって良いじゃない、個性的で良いじゃない、ってな。

 だが、そんなことをする為には、おれの度胸は九割方足らん。あ、念の為に言ってはおくが、制服というのはおれの場合あくまで学ランであって、決してスカート穿いてみたいとかそういう怪しい話ではないからな。あしからず。

 まあとにかくそんなことをするのは、全身に骨折したとき用のギブスをしてクラスメイトの中へと特攻を敢行するのと同じぐらいに無謀な行為だろう。

 どうぞ落書きしてください、どうぞ私をイジり倒してくださいと言っているようなものである。

 もしくは、腹を空かせたライオン様の群れに単羽突進するウサ公に喩えてもいいかもしれない。

 まあどちらにせよ結末は合掌、である。

 そんなこと、おれはごめんだ。

  だから、おれは黒髪の女の子にそれ以上お近付きにならないことを、心の中で宣誓した。ワタクシハ、カノジョニコレイジョウイッサイカカワラナイコトヲチカイマス。

 いや、本音では惜しい、本当に惜しい限りである。つい先程申し上げたとおり、おれは制服萌えなのだ。だから、彼女とお近付きになりたいという思いはある。
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