破天コウ!
 よく周りを見渡してみれば――とはいっても、人が多すぎて自由に首を回すことすら出来ないのではあるが――結構おば様方がいらっしゃった。保護者方である。

 完全におれの我がままではあるが、頼むからバスから降りてくれと感じた。

 我が子が可愛いのはわかる。だが、あんたらが乗っているせいで、先を急ぐ生徒の内の一体幾人がこのバスに乗れずにバス停に立ち尽くすことになったと思っているのだ。

 偏見かもしれないが、こういった連中はどうも自分たちが良ければ全て良しだとか考えている節があるような気がする。

 保護者の入場時間は、生徒の集合時間よりもずっと後なのだからもう少し考えてやれよ、なんて思ったり。

 まあ、結論を言えばおれが酔うからやめてくれよってだけの話なわけだが。

 少しバスは走って、目的地に一番近いバス停に着いた。

 そこから会場へと続く道は、千年の都であるこの地に相応しく、桜が咲き乱れていた。

 風が吹くたびに、花びらが舞う。

 これを見て、おれは素直に京都の大学を選んで良かった、と感じた。逆にいえば、大学を選んだ理由は京都にあるから、という理由が大きかったのかもしれない。

 別にやりたいことがあるわけでもなく。偏差値と、京都にあるという理由だけで大学を選んだ。
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