第七世界
目を覚ますと、暗い場所に倒れていた。

目が慣れていないせいで、周りに何があるのか見えない。

「一体、ここは」

まだ意識がはっきりしないが、二度寝している場合じゃないようだ。

次第に目が慣れてくると、周りには倒れている女性客が大勢いる。

人気店だったからこそ、集まった数も多かった。

周りは大きいホールのような場所であるものの詳しくはわからない。

連れてこられたのは俺だけかと思いきや、傍にティーナさんが気持ち良さそうに睡眠している。

「ティーナさん?」

頬を軽く叩いてみると、ティーナさんが瞼を振るわせた。

「ううん」

「ティーナさん、起きてくれ」

「うん?恭耶くん?」

寝ぼけ眼をこすりながら、背を起こす。

「ここ、どこー?」

「解らねえけど、只ならぬ状況ってこった」

周りの女性客も目を覚まし始め、色んな声を上げ始めた。

「何なの!どうなったのよ!」

「帰りたいよう」

「さっさと出せや!コラ!」

暗闇の中の不安は隠せないようだ。

だが、落ち着いている自分が居る。

鬼に出会った後では、暗闇如きでは霞んでしまう。

「楓がいない」

「あれ、そういえばそうだねー。トイレかなー?」

「いや、何かしら企んでそうだけどな」

料理に手を付けなかったのも、眠らされる事を知っていたからなのかもしれない。

まさか、これが天国とか言いやがるのか。

ティーナさんと二人きりになれたのは嬉しいけど、状況が悪すぎるぜ。
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