第七世界
「でもさ、これで恭耶にも勝ち目がなくなったね」

「何?」

「本当、何も考えずに仲間になるって、馬鹿じゃないの?」

一体、どういう事だ?

「恭耶君、もしね、アルさんがウルさんの身体を操れるとすれば、ウルさんの身体を通して恭耶君の身体も操れる事になるんだよー」

「おいおいおい!何で先にいわねえんだよ!」

「バッカだね。私がいつ兄の事を嫌いと言ったの?兄に不利になるような事を言うとでも思う?」

「く」

「本当、笑える」

「ウルさん」

ティーナさんが構えようとする。

「私は恭耶の心臓を握っているのも同じよ」

俺は金縛りにあったように、身動きが取れない。

「日本が、お前たちと同じ世界だと思うのかよ?」

「どこも同じだよ」

「俺は少なくともお前の事を醜いなんて思っちゃいねえ。だから、お前と同じ存在になった。ティーナさんだって逃げずに話を聞いてくれてる。解るだろ!俺達はお前がどういう存在であれ逃げない!ただ、自分のやった事の代償は支払わなけりゃならねえんだ!お前もこれ以上逃げようとすんじゃねえよ!」

「逃げてる?」

「自分自身を恥じるな!自分を開けりゃ、いつだって受け入れてくれる奴はいる!」

「それ、本気?」

「勢いだけかもしれねえけど、意思を変えるつもりはねえ!」

動けない自分が言っても滑稽にしか見えないだろうが、遠慮なんてしない。

「これでも?」

「ご、は」

ウルが睨みつけると、心臓に痛みが生じる。
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