第七世界
「ぐ、俺は、お前の心よりも芯がある!だから!心臓に罠をしかけられていようが、変えるわけにはいかねえ!」

だが、痛みがどんどん強まっている。

「自分がどんな状況なのか、何も解らない馬鹿は死ねばいい」

「お、が」

「ウルさん、止めてよー。本当に恭耶君が死んじゃうからー」

俺が人質にとられているせいか、動きたくても動けない。

ティーナさんの事だし、本当のところはどちらも傷つけたくはないのだろう。

大口切ったのはいいが、マズイ状態だ。

「死ねるかよ!」

覚醒だとかそんな物が出来たのなら、早くしたい。

「しぶとい!」

「ぐう!」

死ぬ。

「面妖だな」

その時、横の壁が破壊され、雨と共に現れたのは鞘に入った刀を持った帽子の男だった。

「人の家を壊して入ってくるなんて、無粋じゃない?」

「人の良心を無為にする、それこそが無粋。そして、それが許されざる行為だと知っていて行おうとする者に光明は宿らん」

濡れた足音を一歩、また一歩と奏でる。

「この男を、殺してもいいの?」

「確かにお前は強いだろう。血を吸えば操れる力もある。だが、それだけだ」

刀を抜き去り、近づく。

「それ以上近づけば」

「ならば、俺が殺す」

刀を俺に投げつけると、腹部に刺さる。

「な」

俺は意識を失い、床へと倒れた。
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