第七世界
ティーナさんを静かに寝かせ、ウルの傍に寄る。

「ウル、大丈夫か」

完全に治っているわけではないので、腹部は痛む。

「う、ん」

ウルが薄らと瞳を開け始めた。

「肩、痛むかよ?」

ゆっくりと背を起こして、肩を触る。

「バッカだね。トドメを刺させておけば良かったのに」

「俺とお前は仲間だからだよ」

「それ、一方的に、決めただけ」

「一方的に決められるくらいの事をやったぜ?」

「何?」

「俺はお前の命を助けた」

「恩着せがましい」

「細かい事はいいだろ?」

「それに、あの二人が大体の事をやったわけで、恭耶はほとんど何もしていない」

「そりゃあ、そうだけどよ」

「いいとこ取りとかダサ、最悪、外道」

「そ、そんなに言う事ねえだろうが!」

確かに、ただ喚いていた俺は何もしていない。

「助かったんだからいいじゃねえか!ティーナさんだって、お前が生き延びててくれて嬉しいんだよ!」

ヴァンパイアとはいえ、回復速度は人間と同じなのか。

今も肩を触っている。

「恭耶は兄を倒そうとするつもりなんでしょう?」

「話を聞かなければ、そうなる」

「きっと話を聞かない。自分の気に入らない事は消すタイプだから」

「だったら、倒すしかないだろ」

「やるとしても、恭耶は弱いからでしゃばらない方がいいよ」

「く、もっとオブラートに包めよ」

「無理」

「はあ、だったら、お前も手伝ってくれよ。もしかしたら、妹の話を聞いてくれるかもしれないだろ?」

「無理だと思うけど、ま、いっか。恭耶が止めたっていうのも、一応事実だしね」
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