第七世界
肩の雨粒を払いながら、面倒くさそうな顔をしている。

肩まである茶髪の尾が四方八方に跳ねており、ウチの学校の制服を着ているようだ。

見たところ、女に見える。

「帽子の男、どこに行ったか知ってる?」

「先に行っちまったよ。っつうか、あんたは?」

「私はキャサリン!乾と同級生の見たまんまの女!」

必要のない情報が混じっている。

ここに来たという事は、只者ではないという事か。

「あんたも乾って奴と同じく、楓に呼ばれたのか?」

「学校で今後の話合いをしてたら電話がかかってきてね、お化け屋敷があるから度胸試しにどうだって、さ。乾は最初は来る気はなかったみたいなんだけどねー」

「何が変えたんだ?」

「私は興味があったんだけど、一人で来るのもなんだし無理矢理連れてきたわけ。そしたら、よからぬ気配を感じたんでしょうね。一人で突っ走っちゃうんだもの。ホント、困るわ-」

「よからぬ気配を感じる?」

「乾は人一倍敏感なのよ。ありえない物に対してね」

だから、気付いたという事なのか。

「それより、何?人が倒れてるわ」

「ああ、そうだ」

ティーナさんをこれ以上、連れまわすのは難しいかもしれない。

屋敷の壁をぶち壊した今なら外の世界に帰れる。

でも、屋敷の中には楓が残っているんだ。

「ティーナは恭耶が連れて帰るべきだよ」

「何?」

「恭耶はここじゃ何の役にも立たない。きっと、兄さんを納得させる事も出来やしない」

「ふざけんな!俺の仲間は中にいる!」

「じゃあ、誰がティーナを外に連れて行くの?私は兄さんの下へ行かなきゃいけない」

キャサリンのほうを見ると、露骨に嫌そうな顔をしている。

「私?これ以上、濡れるの嫌なのよね。それに、私は女を助けたいと思わないし」

俺しかいないのか。

「恭耶はよくやったよ。それじゃ、私は行くから」

ウルは先へ進んでいってしまった。
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