第七世界
「俺が行こう」

雨の中から、更に影が入ってくる。

「へえ、気配を感じなかったわ」

キャサリンの頬には一筋の汗が垂れている。

「仮面の男」

仮面で隠した顔と中華服は変わらず、周りには重苦しい空気を纏っている。

乾とは明らかに別。

「お前は信用出来ない」

「だが、お前はここを去りたくないはずだ」

「知ったような事、言いやがって」

「お前の頭の中は簡単に読める」

「ふざけんな。お前なんかに任せられるか!」

「ちょっと待ちなさいって、すごい良い提案してくれてるじゃない」

キャサリンが止めようとするが、仮面の男は謎が多い故に信用出来ない。

「こいつは危険なんだ」

仮面の男は何がしたいんだ。

「ティーナ=神崎をどうこうするつもりはない」

「何でティーナさんの名前を知ってる?」

「答える義務はない」

「ち、何でも知っているような感じが気にいらねえ」

「ティーナ=神崎はここに寝かしていおく事は得策ではない。奥へ連れて行く事は論外だ」

「お前が連れて行くなら、俺が行く」

楓の事は心配だが、仮面の男に任せるくらいなら自分からティーナさんを連れて出た方が良い。

だが、仮面の男は先にティーナさんの下へと辿り着いている。

「いつの間に」

「お前が抵抗するなら、ティーナ=神崎を刺殺する」

「な」

首元には手とうの指先が向けられている。
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