第七世界
「言ってる事が、違うじゃねえか」

黒いオーラが本気指数を示している。

「お前が動いて殺すか、俺に運び出させるか、選べ」

「お前に何の得があるんだよ」

「理解する必要はない」

「く」

「まあまあ、意固地になってもいい事ないって。聞いてればお互いにいい条件じゃない」

そうだが、運び出した後にティーナさんが無事であるという保証はない。

「お願いしちゃいなさいって」

脅迫紛いの行為だが、本気である以上、下手な行動はしないほうがいい。

「本当に、無事に運び出してくれるんだろうな?」

「お前よりは速く、上手く、運び出せる」

俺が良いと言う前に仮面の男はティーナさんを負ぶった。

「お前は先を見ろ。それが役割だ」

そのまま、外へと走っていった。

「ティーナさんが風邪引くじゃねえか」

「ほらほら、行くわよー」  

「ちょっと待て。あんたが只者じゃないってのは解る。でも、この先にいるのは人殺しを何とも思わないような奴だ」

「もう、あんたが男だったら惚れてたのにー」

「は、はあ?」

「いいのいいの、気にしないで。今は二ノ宮君が心の支えなのよ」

「あ、ああ」

何か一人でテンション上がっているのだが、本当に大丈夫か?

しかし、これから決戦も近いというのに女装はねえよな。

「おーい、早くしないと追いつけなくなるわよ」

「ああ」

当たりを物色する暇もなく、キャサリンと共に奥へと向う事になった。
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