第七世界
奥へと進むにつれて、緊張感が高まっていく。

キャサリンは仮面の男と会った時の顔よりも緩やかになっている。

それだけ、仮面の男が恐ろしいという事なのだろうか。

しかし、ティーナさんは無事に着いたのか。

心配だ。

「なーに?まだ気にしてるわけ?」

「当たり前だろ、何をされてるか分かったものじゃない」

「向こうに任せちゃったんだから、気にしてもしょうがないと思うけど?」

「やっぱり俺が運んどけば良かったか」

「うじうじしてると根暗に見える、そんなんじゃ男が近寄ってこないわ」

「うるせえ!」

男に好かれるなんて、どこに嬉しい要素があるんだ。

俺が男だっていう事に気付かないのは、女装が完璧すぎるという事か。

単に、キャサリンが鈍いだけかもしれねえ。

「しっかし、全然、追いつかないわね」

そんなに部屋を出た時間は変らないはずだ。

どれだけ早歩きでアルトゥールの部屋に向っているのか。

「ウルはともかく、先に行った乾は道を分かってるのか」

「大丈夫大丈夫、敏感だって言ったでしょ。気配で道なんか一発よ」

「そう言いながら、道に迷っているオチとか止めろよ」

「進むところに壁があったら、ぶち壊してるかもしれないわね」

乾という男も危険すぎるな。

他人の家の壁は破壊するわ、女を斬るにも容赦がない。

「あら、早速、壁がなくなってるわ」

目の前は壁があった場所なのだが、今は向こう側の通路に繋がっている。

「便利ねー。これで道に迷う事がないわ」

「おいおい、毎回、こんな事してるのかよ」

「普段からこんな馬鹿な真似をしないわよ。まあ、乾は敵には容赦ないからね」

身の回りの奴らは、全員敵に回すと厄介だという事が分かった。
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