第七世界
あれから、キャサリンは入院、怪我を負っている女性達も入院、ティーナさんは一日経ったら動けるようになっていた。

気付いた女性達は自分の身に何が起こっているのかは分からないようだったが、自分が誰だかわかっているようだった。

しかし、彼女達がヴァンパイアである事は変わりはなかった。

操作の主が死ねば、彼女達が死ぬというわけでもないらしい。

それに、ヴァンパイアであるから、何が違うのかというのかは俺には分からなかった。

血を飲まなきゃ生きていけないのかとか、朝は弱くて夜に強くなるのとか。

定義があったら、知ってみたいところだ。

「あー、鷹威君」

「お、ティーナさんじゃないか」

今日は、見舞いのためにティーナさんの病院に来ていた。

そして、病室に行く途中で、ティーナさんに出会ったのだ。

「お見舞いきたのー?」

「そうだぜ」

「恭耶君がきたらー、きっと喜ぶよー」

「そうだといいんだけどな」

「あ、私、仕事中だから行くねー」

「ああ、頑張ってくれよな」

笑顔のまま廊下を歩いていった。

「さてと」

部屋の前には『犬飼犬子』というプレートが刺されている。

病室の前に辿り着いて、ノックをする。

「はい」

「入るぜ」

扉を開けると、茶髪の女性がベッドの上に横たわっていた。

「恭耶」

「見舞いにきたぜ」

俺は近くに座り、林檎を傍の棚に置いた。
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