第七世界
「そうや!何か文句あるんか!」

胸を張っているが、何の自慢にもならない。

「そ、そうなんだ。一つ屋根の下で男女が」

「お前、何を想像しているんだよ?確かに、同じ家で暮らしてるけど何もねえよ。ただ、俺はこいつの失き、もぐ!」

んを言う前に高速ボディーブロー数発入れられて、口封じされる。

「二人で密着して怪しい」

「お前、これのどこに怪しさが含まれているというのか」

「鷹威君、刹那ちゃんに密着されて喜んでるくせに」

「俺はゲロを吐きながら喜べる、強い人間じゃねえんだが」

さっきのボディーブローにより、胃の中の物が公然に飛び散りそうだ。

そして、佳那美は面白がっているようにしか思えない。

「おい、佳那美、実はそんな事、微塵も思ってねえんだろ?」

「え、今、気付いたんだ」

佳那美が冷静になりながら答える。

「何で朝っぱらから肉体も頭も痛くしなくちゃなんねえんだよ」

「自業自得や」

「お前はもうちょっと俺の言葉を受け流せるようになれ」

「嫌や!恭耶が言うの止めたらええねん!」

刹那と出会ってからの不毛なやり取りはループしているような気がする。

「とりあえずだ、俺は一刻も早く教室に行かなくちゃならん」

「えー、もう少しいいじゃん」

佳那美が遊び足りないのか、不満の声を上げる。

「お前、今、何分か分かってるのか?」

時間はHRが始まる3分前だった。

一秒でも遅れた瞬間に、無駄な時間を学校で過ごさなくちゃならなくなる。

「あいつならちょっとした出来事でも、理不尽な理由を叩きつけて俺をこき使うんだ!」

「君はよほど体育倉庫の整理がしたいようだな」

いつのまにか、背後には楓の姿があった。

「ホラ!この通り!」

「安心したまえ、今日は一時間目から整理させてやる」

そして、俺は一時間目の授業に出られなくなったとさ。
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