第七世界
「鷹威君の教室って3階じゃなかったっけ?」

「こっからならいけるぜ!」

校庭からでも飛んでいける場所に、教室の窓がある。

「死ぬよ?」

「俺がタフなのは、知ってるだろ!」

「失敗したら、そういう次元じゃなくなると思うけど」

「馬鹿野郎!喫茶店にいけなくなってもいいのかよ!」

「佳那美!恭耶の言うとおりにするんや!」

「私のせいにしないでね」

「当たり前だろ!」

ほとんどの人間が教室に帰ったところで、佳那美が腕を鬼へと変形させた。

「ごっつい腕しよんなあ」

刹那が興味深く佳那美の腕を見ている。

「怖い?」

「いんや、恭耶がどれくらい飛ぶんか気になるわ」

「ふふ、そうみたいだね」

意味深な含み笑いで刹那を見つめ返している。

「早くしてくれ!そろそろ来る!」

すぐには来ないだろうが、のんびりしている暇はない。

「じゃ、新記録出しちゃうよ!」

俺を大きな手の平に乗せて、助走をつけて砲丸投げのように上空に押し出す。

勢いよく空を飛び、空気抵抗を感じながら教室の窓へと近づいていく。

「おっしゃ、もう少しだ!」

「君は、詰めが甘いな」

窓辺に立っていた楓がダイレクトで俺の顔面に蹴りを入れる。

「ごぺあああ」

そして、俺は羽をもがれたイカロスのように、地上へと落ちていく。
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