第七世界
意識を失いかけたが、地面に落ちたら死んでしまうという危機的状況なので無理矢理意識を保たせた。

「やべええ!っていうか、身体がうごかねえ!」

顔をやられたせいで、脳がちゃんと機能しなくなってしまったのか。

「鷹威君!」

佳那美が校舎の壁走りをしながら、壁を蹴って離れた後で俺を捕まえて地面へと降りる。

「本当、危ないなあ」

俺を地面へと下ろして、腕を人間へと変化させる。

「あが、まさか、すでに待っているとは思わなかったぜ」

「じゃあ、私も授業だから行くよ。鷹威君、絶対実行してよ」

「分かってるぜ」

佳那美は教室の方へと走っていった。

怪奇を持ちえながらも、日常生活を営むのは大変なんじゃなかろうか。

辺りには、人の姿はない。

刹那の野郎は俺が一大事の間に教室に向ったんだろう。

「さあ、戻るか」

「鷹威、俺を、忘れるなよ」

モブが鼻血の後をつけながらも、ゾンビの如く這い上がってくる。

「ああ、お前、いたのか」

「鷹威、俺はお前の一族に前世から嫌われているのかもしれないな」

「いや、違うな」

「おお、じゃあ、俺の名前を紹介させてくれるのか?」

「お前は皆から嫌われている!」

モブの心は崩壊寸前だ。

「ひ、ひでえよ、俺は友達を作りたいだけなのに」

「モブよ、お前に罪はない。だが、生理的に無理だと言う事実はどうしようもないんだ。そう、お前はモブとして静かに暮らすが良い」

俺はモブに背中を向けて、腕を上げながら別れを告げた。

コレ以降、モブが前へと出てくる事はなくなった。
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