第七世界
「この写真をバラまかれてもいいのかな?」

「困るわ」

一人は男の声、もう一人は佳那美の声か。

「君が特殊な存在であるのは写真が証明している。そして、写真の中の君は忌避される姿をしている」

「そうだね」

いけない会話のような気がするな。

俺はとめに入ろうとしたが、佳那美の台詞に固まった。

「私を脅す?」

「君の返答次第では、助かるはずだよ」

「ふふ、ふふ、ははははははははははははははは!」

狂気を含ませた笑い声が、廊下に響き渡る。

「な、何?」

「人間って面白いね。何で、私が困るかわかる?」

「何を余裕をかまして」

「私はあなたを殺してしまいそうだから困ってるの。ばら撒きたければばら撒けばいい。噂にしたければ噂にすればいい。でも、いいの?私、殺すわよ?合法的なんて甘い事は言わない。あなたも、あなたの家族も、全て殺すわ。ああ、私のは脅しじゃないから。写真の腕を見れば、分かるわよね?」

「ひ」

「そんなに怯えなくていいの。私は静かな学園生活を送りたいだけ。私に関して何もしなければ、あなたは普通の学園生活を送れる。OK?」

あくまで、佳那美は穏便に行きたいようだ。

俺は階段を上がるのをやめ、壁の影に隠れた。

しばらくすると、冴えない男子生徒がうな垂れながら降りてくる。

その後で、佳那美が笑顔で降りてきた。

「鷹威君、聞いてた?」

影にいる俺を気配だけで探知したのか、こちらを向いている。

「ああ、相変わらず、スイッチ入ると飛んでるよな」

俺は影から佳那美の見える位置へと移動する。

「そうだね。でも、鷹威君もうかうかしてられないよ」

「は?」

「いい案、あるんだよね?」

「げ!」
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