第七世界
嫌な汗が滝のように溢れ出てくる。

「もちろん、お前に殺されない程度の案はあるぜ」

「信じてるよ」

怖い笑顔を脳裏に焼きつかせ、佳那美は階下へと降りていく。

「たく、簡単に人を殺すなんて言葉を使う事が出来るのは、お前くらいだろうぜ」

佳那美は一体、どんな生活を送ってきたのか。

まだ、俺は佳那美の事を何も知らない。

「まあ、知ったら知ったで後が怖そうだぜ」

俺も階下へ降りていき、校門へと辿り着くと相良美祢の姿があった。

ケータイをいじって、誰かと連絡を取っているのか。

「来た来た」

「ああ」

そして、いきなり俺の手を握ってくる。

「いきなりすぎねえか?」

「嫌?」

断る理由も特に見つからず、俺は答えずにいた。

「鷹威君はさ、今日はどこに連れて行ってくれるの?」

「その事なんだけど、俺らはお互いの事を知らないわけだ。喫茶店でも行って話をしねえねえか?」

「ふうん、お話。デートにしては地味ね」

相良美祢は、どんなスリルを求めているというのか。

「もっと刺激的な事でもよかったんだけど」

潤んだ瞳が何を意味しているのか。

「あのな、話をする事を馬鹿にしちゃいけないぜ?会話内容によっちゃ楽しめたりもするんだ」

「ふうん、自分でハードル上げちゃった。期待しちゃうよ?」

「ああ、任せとけってんだ!」
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