第七世界
佳那美に貰った地図を頼りにしながら、到着したのは喫茶『サバイバー』。

「ここって、結構有名になってるところじゃん」

「そうなのか」

情報には疎い方なので、よくは知らない。

有名とは言うのだが、今の時間帯は混んでいないようだ。

「早く入ろうよ」

美祢に促されながら中に入ると、一番に店の制服に着替えた佳那美の姿が見えた。

ミニスカートにニーソックスにフリルにエプロン、メイド服に近いのだが少しだけ露出度が高い。

「いらっしゃいませ」

店員らしい笑顔なのだが、目が笑っていないのは気のせいか。

「あそこ座ろう」

外からは見えにくい、奥の席に座る。

席に向う途中に刹那の姿も見えたのだが、大きい皿にのった料理を食べながら睨んでいる。

きっと、料金は俺もちなんだろうなと思う。

すると、佳那美が水を持ってくる。

美祢の前に静かにグラスを置いて、俺の前に置こうとした瞬間。

「あ、手が」

こけたフリをしながら、おもいっきし俺にぶっかける。

水なら大丈夫だと思っていた俺が馬鹿だった。

「あっちいいいいいいい!」

一気に飲めるような温度ではない水分が、頭に降りかかる。

「あ、いけない、水と熱湯を間違えた」

わざとらしい台詞を棒読みで読み上げた。

「あち、あち、あちいいい!お、お、お前!何してんだよ!」

制服にもお湯が染み込んで、身体も熱い。

「ちょっと、お前よ、いきなり何してくれてんの?」

美祢が少し怒りモードになりながらも、佳那美を睨んでいる。

「お客様、冷やす必要がありますので、こちらに」

無理矢理、強い力で引っ張られ、奥へと連れられていく。
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