第七世界
どんどんと頭に上った血が下がっていく。

一つだけ、理解した事がある。

「はあ、分かったよ」

「鷹威君?」

「約束は反故にしちゃいねえけど、お前は納得してねえ。そうなんだろ?」

「別に」

「正直に言うつもりはないとか、正直に言えないとか、そんな事はどうでもいいんだよ。そんな事聞かなくても、お前の態度で分かるからな」

頭をかいて、これからすべき事を考える。

いや、考える必要はない。

行動をするだけなのだから、考える事は時間の無駄でしかない。

「佳那美、彼氏?」

厨房らしき場所から、茶髪のセミロング、30代半ばであろう童顔の女が出てくる。

年齢からか、佳那美と同じ服装ではなく、私服にエプロンだ。

「友達」

元気なく答える。

「そうなんだ。ふーん」

上から下まで嘗め回すように見てくる。

「佳那美は怖いイメージあるでしょ?でも、寂しがりや屋だったりするからさ、仲良くしてあげてね」

「叔母さん!」

「にょほほ」

佳那美に怒鳴られると、佳那美の叔母は再び奥に引っ込んでいった。

「はあ、ごめん」

「ああ、別に問題はねえ。面白そうな叔母さんじゃねえか」

「違う。そうじゃない」

「あん?」

「私、調子乗ってたかもしれない」

反省の色を見せているようだ。

「まあ、いいさ。俺は納得するように行動するだけだ」

「あ、そう?じゃあ、男前なところ、見せてもらおうっと」

切り替えが早すぎやしないか?
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