第七世界
「恭耶!あんた、何やってるん!?」

飯を食っていた刹那が四つんばいになった俺のケツを蹴る。

「誰のおかげで、こんな結末になったと思ってるんだよ!?」

「あんたがだらしないからやろ!」

「ちょっと待て!お前が勝手に俺の財布を持ち出したのが原因だろうが!履き違えてるんじゃねえ!」

「はあ?あんた、佳那美に秘策があるとかどうとか言ってたんちゃうん?」

「あのな、秘策はもうこの店を来る時に使い切ったんだよ!財布の件とは別だ!」

俺達が言い争いをしていると、横から財布が飛び出てくる。

「こ、これは!」

俺の財布だった。

宝物を召喚したのは、メイド姿の佳那美であった。

「鷹威君ったら、自分の世界に入った後は刹那と喧嘩しちゃうんだもの、いつ出そうかと迷ったよ」

「おお、佳那美!」

佳那美に抱きついた。

「ありがてえ」

嬉しさのあまり、自分が何をしているかなどよくわかっていない。

「ちょ、ちょっと、鷹威君」

「頼りになるぜー、お前はよお」

鬼の佳那美なら簡単に引き離させるだろうが、されるがままだった。

「しょうがないなあ、鷹威君は」

「裏切りやんか!」

刹那が横から口を挟んでくる。

「何言ってるのよ。これは当然の報酬だと思わない?」

「む、むむ、でも、どうやって」

「簡単よ。ちょろっと、ね」

佳那美は、宙で財布を抜き取る仕草を行う。

「この犯罪者」

「目には目を、歯には歯をって奴じゃない?」
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