第七世界
主に俺ではあるが、佳那美にも苦労をかけたといっていい。

「お前は自分のやった事を反省せずに人に何かを頼めるような立場じゃねえんだよ!」

「昼に恭耶が寝てたせいやんか」

「だったら起こすなり何なりすればいいだろうが」

「すぐに食べたかったんや!ボクの腹はそんな我慢できる子ちゃうんや!」

何の言い訳にもなってない。

「お前は、常識という物を身に付けろよ!」

「恭耶かて、もっと女の子に優しくしたらどないなん!?」

「話を別の方向に持って行こうとするな」

刹那の身勝手さは相変わらずだな。

根本的にねじれきってるからこそ、治りようが無い部分なんだよな。

素直な部分も当然あるのは知ってるが。

毎回毎回、これじゃ俺の血管が切れてもおかしくはない。

「まったく、お前のガサツさはスラム街当たりのもんだぜ」

「恭耶、ひどいわ!」

そのまま店を飛び出していってしまった。

いつもなら、殴る蹴るがとんできてもおかしくはない。

俺をいかに悪者に見せるかという、妙な知恵をつけたのか。

「本当、恭耶君は説教が好きだよね」

メイド服姿で刹那の座っていた席に佳那美が座っていた。

「あのなあ、あれはどう考えても説教しなけりゃならんだろうが」

「でも、最後のはどう考えても必要なかったね」

「あれくらいでも叩き込んでなけりゃ、聞く気もねえだろうよ」

俺は財布から金を取り出した。

「今日は、悪かったな」

「いや、別にいいよ。それより、ちゃんと刹那ちゃんに謝りなさいよ」

嫌そうな顔をすると、大きな爪を俺に見せる。

「わあったわあった」
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