第七世界
俺は刹那を見つけるために走る。

武術の腕は確かなのだが、持久力はそう高くないと思う。

「刹那ー!」

大声で叫ぶものの返事はなく、街中の周囲の視線が体に刺さるだけである。

「刹那」

刹那は自分のやってる事を理解してるとは思う。

普段から素直じゃないから、謝るのは難しいんだ。

でも、言わなくちゃならない時だってある。

「どこに行ったんだよ」

俺自身も、刹那の事は心配している。

刹那自身はどう思っているのかはわからないけどな。

「刹那あああ!愛してるから出てこおおおおい!」

「恥ずかしいねん!」

後ろから怒号と共に、とび蹴りをかまされる。

勢いと共に前方へと転びながら、噴水の中へと突っ込んだ。

「いてええ!刹那、お前いるんじゃねえかよ!」

ずぶ濡れになりながらも、噴水の中から出てくる。

刹那が顔を赤らめながらも、腕を組みした状態で立っていた。

「何が愛してるや!ガサツとか言ってたくせに!!」

「あのなあ、何で俺がお前にここまで言うか、考えた事あんのかよ?」

「どうせ、ボクに嫌な思いさせたいだけやろ?」

「お前は小学生、っと」

いつものノリで言ってしまったが、刹那の当身をサイドステップで回避する。
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