第七世界
「そういう意味合いで言ったわけじゃねえんだよ」

刹那は少し興奮気味のようだ。

いつか血管が切れて死んでしまうんじゃないかと思う。

「ボクは、どうせ、小学生や」

悔しそうな顔をしながら、俯いてしまった。

刹那には毎回困らせられる。

出来の悪い子は何とやらというところかね。

「刹那、お前には、ちゃんとした大人になって欲しいんだ」

「ちゃんとした大人になれそうにない恭耶に言われたくない」

「はあ」

結局のところ、こっちが穏便に行かなければ話しが進まない相手である。

水を浴びたせいで、少し落ち着きを取り戻してきた。

「刹那、お前はさ、自分の物をとられた時、謝らない奴が相手だったらどうすんだ?」

「殴るわ」

一番、何の解決もしない方法を提案してきた。

「暴力で解決出来ないとしたらどうすんだ?」

「そんなん、知らんわ」

考える素振りも見せないところ、ご立腹のようだ。

「相手がお前よりも賢くて強かったり、逆恨みするような厄介な相手だったら、お前が悪くないのに悪い事になるんだよ。それは、知らないで済まされないし、お前自身に危機が及ぶ。それは、お前も嫌だろうし、俺も嫌だ」

「恭耶が嫌?」

「言っただろ、俺はお前が心配なんだよ」

「さっきは嬉しそうに佳那美に抱きついてたくせに」

それが刹那を怒らせている元のようである。

刹那にとっては軽率と思える行動を取ってしまったようだ。
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