第七世界
「俺は刹那の料理が食べたい」

刹那の瞳を捕らえながら、恐怖心を抑え伝える。

本当は口に入れるのも恐ろしい。

「な、何言ってるん」

「ああ?もう一度言おうか?俺はお前の料理が食いたいっていったんだよ」

トラウマの光臨だろうか。

震える体を無理矢理押さえつける。

「どうせ、また滅茶苦茶に貶すんやろ、わかってんねん」

「馬鹿野郎!お前の努力を無駄にするような事、俺はしねえ!」

目を見開きながら、力説する。

「お前だって人間だ!身長と胸は小さいが、他は成長する!」

「余計な事いいすぎなんや!」

発頸をぶち込まれて、俺はもがき苦しむ。

「ええわ。そんなに食べたいんなら、上げたってもええ」

俺は立ち上がり、椅子に座った。

刹那がお皿に盛りつけた物は、ドロドロの緑のヘドロだ。

野菜を煮込んだようにも思えるが、煮込みすぎているように見える。

これを食べて生きた物はいないといわんばかりの代物である。

創作料理というのなら大きな間違いだ。

これは料理ではない。

兵器開発である。

「今回は、味見したのか?」

「まだしてないわ。恭耶がどうしても欲しいっていうから、先に味見させたろうと思って」

前回の反省点を活かしてない。

しかし、今回は俺が食べたいと志願してしまったがための過ちだ。
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