第七世界
「たく」

ここまできたら、諦めるしかない。

恵美子も気分を害しているのか、不機嫌そうな顔をしている。

「で、これから何をするんだ?」

「貴重な体験だ」

「また、おかしな奴と出くわすようなところにつれていくんじゃないだろうな?」

「それはない」

「本当かよ?」

「帰り道にいるからな」

「ちょっと待て!楓!お前の生徒に対しての愛は皆無なのかよ!」

「愛のムチだと思ってくれればいい」

「どこが愛のムチだよ!一撃で死に掛けるだろうが!」

「ちょっと、それ、どういう事?」

不穏な空気を感じ取ったのか、険しい顔で恵美子がこちらをにらんでいる。

「問題はない。死ぬ事はないからな」

「でも、鷹威が」

「恭耶はアホで最悪と噂が通っているが、君の盾くらいにはなってくれる」

ちょっと待て。

明らかに俺は死ぬ前提で話してないだろうか。

「それって危険って事なんじゃないの?」

「残念だが、この時間だと君一人で帰るのは危険だ」

「ちょっと、先生!やっぱ、やばいんじゃないの!?」

「香坂、諦めろ。お前は楓に逆らう事はできねえよ」

「ちょっと、この学校おかしくない?」

不安な表情になったりする、香坂は表情豊かだ。

「何を今更。楓のクラスになった時点で、お前の人生の半分は死んだも同然だ」

「ほう、君の高校人生を終わらせてもいいんだが?」

「楓よ、俺はどれだけお前のいう事を聞けば、人生を終わらないで済むんだ?」

「君が私の家の隣に住んでいるという時点で、人生は終わっている」

どっちにしても、終わってるんじゃねえかよ。
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