第七世界
「雪・月・花!」

乾が得意の技を出すが、浮浪者はそれをいなす。

「説明しろよ、楓」

「あれは妖刀『幽艶』だ」

「はあ?言葉が内容を伴ってねえぞ」

「元の持ち主の様子から取られたらしい」

「矛盾してねえか?」

元の持ち主もあれだとしたら、嘘になる。

「持ち主は吸血鬼。そして、幽艶を使いこなしていた」

楓や佳那美達と同類か。

「吸血鬼がアレをもっても、なんともならねえっていうのかよ?」

「保証はないが確立は高くなるかもしれない。その程度さ」

「じゃあ、どうすんだよ?」

「あれを折るしかないだろう」

「折るつったって、乾でさえあの様子だぞ」

いまだにやり取りをしている。

どちらも明らかに人間の許容量を超えた動きをしている。

しかし、少し間違えば死ぬのは間違いない。

その奥にいる香坂はびびって、腰を抜かして動けないようだ。

「おい、香坂、大丈夫か?」

俺は香坂の傍に寄った。

「何なのよ、これ、一体、何だっていうのよ!」

「俺だって知るかよ。でもよ、こりゃお前がいじめてる状況によく似てるよな」

「はあ?何言ってるの?」

「お前さ、自分のやったことに責任をもってねえだろ?」

「そんなの、必要ねえし」

「必要ないか。ならよ、お前がいじめた後輩が自殺したら、どうすんだよ?」

「自殺なんて、するわけ」

「ないなんて言わせねえぞ。心の傷っていうのは、どういう風に広がるかわかんねえんだからよ」
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