第七世界
浮浪者が防ぐが、折れない。

さすが、妖刀といったところか。

「皆木教師、腕を切り落とす」

今まで加減をしていたかのような言い草だ。

帽子の奥に潜む瞳が、殺気を帯び始める。

「仕方ない」

頭をかいて、顔を上げると楓もいつもとは違う雰囲気をまとっていた。

「本気でやるつもりかよ?」

「幽艶の思考が読めないからな。力が使えない以上は、いつもよりも動くしかないだろう」

果たして、それで勝てるのか。

楓が前から突っ込む。

浮浪者は刀を真横に振るう。

それを飛んで回避するのと同時に、合わせたかのように真横に振るった刀の下から潜り込んだ乾。

「虎屠り」

龍殺しの下から切り上げるバージョンで、隙をついて腕を切り上げた。

超人二人の動きにはついていけなかったようで、素直に腕が斬り飛ばされた。

しかし、飛んだ腕は闇の中へと消えていく。

「盛大に飛んだな」

「のんきなことを言ってる場合かよ!」

腕の在り処を探さないと、後々になってややこしくなる。

「今、ぐ」

背中の傷が痛む。

「そういえば、君は斬られているんだったな」

「く、だったら、楓が探しに行けよ」

「安心するんだ。彼がもう行動に移している」

よく見ると、乾の姿がない。
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