第七世界
「たくよ、何で俺がここまでせにゃならんのだよ」

「私がいたら、迷惑みたいな言い方」

「そんなこたあ、どうでもいいんだよ。ちった、考え方が変わったのかよ?」

「しらねえよ」

ぶっきらぼうに香坂が答える。

人間は急に考え方を変えられる物でもないがな。

しかし、努力はしてほしい物だ。

「はあ、とりあえず、家はどこよ?」

「ここらでいい」

マンションが立ち並ぶ場所で、香坂がとまった。

「んじゃ、またな」

「鷹威、ちょっと聞いていい?」

「あんだよ?」

「もし、あんたが、私と同じ立場だったらどうする?」

「はあ?そんなもん決まってるだろ」

「何?」

「他人に感けてる暇があったら、自分で自分を変えようとするんだよ。それのほうが手っ取り早いだろうが。それくらい、自分で分かれよ」

「上から目線とか、うざ」

「お前が聞いたんだろうが。たく、じゃあな」

俺は香坂に背中を向けて、家路に着く。

「ふう、いてえ」

「ちょっと、恭耶、どないしたん、それ?」

家に帰れば、出かける支度を済ませた刹那が出迎えた。

「何でもねえよ」

「じゃあ、今から行くで」

「はあ?お前さ、俺がこんなに重症を負ってるのに、労わるとかねえのかよ?」

「自分で何ともないとか言ったんやから、何ともないんやろ。ほら、ドドンドンキーが待ってるんや!」

どうして、俺の周りには俺の体を心配する人間がいないのだろうか。
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