第七世界
業者が運ぶ様を見守る女性と目があう。

女性から先に笑顔で会釈してきた。

顔を見た瞬間、心の鐘を打たれたが、平全を装って会釈した。

その後も声をかける事もせず、窓から見下ろす。

すると、女性が手招きしており、迷いながらに外へと出た。

正直、初対面の人間とあまり話す事などないし、中学生の俺は他人に興味を持てなかったからだ。

「何っすか?」

傍に寄れとさらに手招きする。

疑わしい目を向けながらも近寄ると、待っていたものは拳骨。

「いってえええ!いきなり何すんだよ!」

普通の拳骨より痛い。

頭のツボを理解している殴り方だ。

「見てるんなら手伝え、少年」

初対面の人間を殴って、手伝わせるのは暴挙の他に思いつかない。

「やだね」

係わり合うとろくな事にならないと、足を家に向けた。

しかし、一向に前に進まない。

何故なら、襟首をもたれているからだ。

「離せよ」

「後でお茶ぐらいは出すぞ」

「いらないから離せって!」

男の力をもってしても、離す事が出来ない。

恐ろしい馬鹿力の持ち主なのか。

女性を殴るのは不本意だが、逃げ出す事のないもどかしさと焦燥から拳を振った。

いとも簡単に首を曲げて回避される。

「女を殴ろうとするなんて男としては減点だ。点数がゼロになったんだ、罰として手伝え」

「だから嫌だ、うご」

女性が鳩尾にボディーを3発ヒットさせる。

「いつまでも駄々をこねるんじゃない!」

明らかにおかしいのだが、女性が怒鳴り散らす。
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