第七世界
「ちょ、ちょっと待て!吸血鬼だあ?何でそんな事になってんだよ!?」

「君は何を驚いているんだ?」

「いや、何で吸血鬼と」

「私も吸血鬼である事には変わりはない」

そういえば、そうだった。

楓が血を求めるところなんて見た事ないから、ちょっと特別な力のある人間かと思っていた。

どこかで血を体内に入れているのかもしれないな。

「で、誰から見合いを持ちかけられたんだよ?」

「母親だ」

「楓、母親生きてたのか?」

「君は失礼な事を言うな」

「だって、実家になんか帰った事、なかったじゃないか」

「ここが実家よりも居心地がいいだけの話だ」

「帰って来いとは言われないのかよ?」

「言われるが、今は関係のない話だ」

「そうかよ。でもよ、前者でも後者でも、上手くいくのかよ?」

「君の腕次第だがな」

「俺に頼むかあ?」

役とはいえ、教師と生徒の恋愛のほうが面倒事が大きいような気がしてくる。

「君は暇人だしな」

「おい、俺には学生と言う本業があるわけだが?」

「君は用務員じゃなかったのか?」

「ちょっと待てや。俺が楓の元でどれだけ授業を受けてきたと思ってるんだよ」

「君が掃除ばかりしているから、用務員と思ったがな」

「掃除させてたのは、楓だろうが!」

こういう勝手な人だから、嫌になってくる。
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