第七世界
「前者でも後者でもいいけどよ。楓はどうなんだよ?」

「結婚を早める気はないな」

「そうかよ。じゃあ、やるか」

「君は中々見込みのある男だな」

「現金だ」

楓に恩があるとかではない。

ただ、付き合いも長いし、嫌な事なんだったら手伝ってもいいと思っただけだ。

しかし、上手くいくかなんていうのは分からない。

「それじゃあ、私は帰る」

「あいよ」

再び窓から出て行った。

刹那に聞かれると、色々と面倒な事ではあるな。

「ふうん、彼氏役やるんや」

刹那が盆を持って部屋の中へと入ってきた。

「立ち聞きしてたのかよ?」

「粥の皿取りに来ただけや」

そういいながら、お盆の上に殻になった皿を置いて出て行こうとする。

「なあ、刹那」

「なんや?」

「お前は、結婚したいと思うか?」

俺のほうを見て、一瞬だけ間が開いたかと思えば。

「どっちゃでもええわ」

そっけない答えが返ってきた。

「まあ、俺も、結婚なんてよくわからなかったりするんだけどな」

「それ以前に、あんたみたいな唐変木と結婚する奴の気がしれんわ」

「刹那よ、いい加減さ。こういうやり取りやめないか?」
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