第七世界
俺は少しはよくなったが、多少痛む傷を我慢しながら立ち上がる。

「俺はさ、別にお前と喧嘩したいわけじゃないんだよ」

「なんや、いきなり」

俺が一歩近づくと、刹那が一歩遠ざかる。

「ここ三ヶ月くらいお前と生活してたけどな、お前は前に進んでると思ってよ」

自分の創作料理を我慢しながらも普通の料理を作ったり、俺に対して積極的に関わってきてくれたり。

「だから、何で、近づくんや」

「でもよ、やっぱ、こういうやり取りしてたらさ、俺自身もお前自身も成長しないと思うんだ」

「ちょ、ちょっと、待ちいや」

刹那の背中が壁に辿り着いた。

「俺は、お前と一緒に成長していきてえ」

「恭耶、それ、ほんまに言うてるんか?」

「こんな状況で冗談言うとでも思ってるのか?」

「でも、楓の彼氏役やるって」

「刹那は嫌か?」

「ボクは、約束破るような奴は嫌いや」

「なら、とっとと済ましてくるぜ」

「うん」

体の力が抜け、床へと座り込む。

「まったく、慣れねえ事をするもんじゃねえな」

「恭耶は何でそんな傷のある時に、そんな事言うんや」

「あれだよ、あれ」

粥を指差した。

「粥がどうかしたんか?」

「よく作れたなと思ってよ。感極まったって奴だ」

そこそことは言ったものの、正直なところは美味かった。

しかし、刹那は納得できないような顔をしている。
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