第七世界
「絶対、創作料理でボコボコにしたるからな!」

ボコボコの意味は、料理で殺人を起こすという意味か。

「ボクはな、本に載ってるもんで喜ばれても、うれしないんや!」

「俺だって、お前の創作料理が旨けりゃほめてやるけどよ。今のままじゃ天地がひっくり返っても無理だろ」

「恭耶に最初から食う気がないから、あかんねん!」

「お前、それは無茶苦茶な理屈だろ」

心頭滅却すれば火もまた涼しという気持ちで食えといっているわけだが、無理なものは無理だ。

「既存の料理をほめた事、許したれへんからな!」

「だから、ちょっと待てよ」

明らかに怒っている事がおかしいと思わないのか。

本を見ても、旨く作れない人だっているのに、お前のわがままはひど過ぎる。

「俺はだな、本に載ってるのでも十分にうれしいんだからな」

「後で覚えときや!」

刹那はお盆と空になった皿をもって、部屋を出て行った。

理不尽すぎる怒りだ。

「はあ、まったく、何なんだよ?」

良い方向に褒めたら怒るなんて、初めてだぞ。

いや、ちょっと待て。

先日の事を思い出そうか。

俺は自分で何て言ったんだ?

「えーっと」

あれは二日前の放課後が始まるときだったか。

脳内のビデオを巻き戻しながら、辿り着いた。

『媚売る女に興味はねえんだよ!俺はちょっとツンでデレな女のほうが魅力的なんだよ!』

「いや、この言葉を参考にしてるのか?あいつ」

ちょっと冗談気味に言ったんだがな。
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