第七世界
「しかし、君が彼女に興味があったとはな」

彼女とは刹那の事だろう。

「悪いかよ?」

「良し悪しで言っているわけじゃない」

そういいながら窓を開けて、タバコを吸い始めた。

「彼女が何故、二年なんていう時期に転校してきたか、分かるか?」

「知らねえよ」

楓は知っているかのような口ぶりだ。

「理由があるとすれば、君だ」

「俺?」

「これ以上は私の口から言うのも野暮というものだ」

「いいところで終わらせるなら最初から言うなよ」

「頭の片隅にでも置いておくといい」

遠い目になりながら、楓は口を閉じた。

外は暑く、アスファルトの上部には陽炎が見える。

刹那は何故、大阪からこちらに来たのか。

楓の言い分からすれば、俺に何かがあるらしい。

だとすれば、たまたま転校してきたとは思えない。

ただ、俺に会いたいというのなら、一年の時から転校してこればいいだけの話だ。

なら、俺を頼ってきた?

頼るって、何を頼るんだ?

何か問題を解決してほしいからこそ頼るのだが、真相は分からない。

あまり考えたくはないが、もう一つの理由もある。

刹那は、命が短い。

だから、俺に会いにきた。

今の状況で短命などという風には見えない。

無理をしているようにも見えない。
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