第七世界
何もヒントがないので、憶測から前に出ない。

刹那にそれとなく聞くのがいいだろう。

俺が考えを中断したところで、刹那とティーナさんがやってくる。

扉を開けた先には、おめかしした刹那が立っている。

「恭耶君、刹那ちゃん、可愛いよねー?」

ティーナさんが笑顔で問いかけている隣で、刹那は恥ずかしそうにそっぽを向いている。

刹那は普段、七分丈のシャツにハーフパンツという井出達だ。

今着用しているのはワンピースという、絶対着そうにない服である。

でも、それが新鮮さを生み出している。

「そうだな、まご」

そういいかけたところで、ティーナさんの背後にあるどす黒いオーラが広がっている。

怒らせてはいけない。

それに、俺は一緒に成長していきたいと言ったばかりではないか。

「刹那、可愛いぞ」

「嘘付くんやない」

怒っているようにも思えるが、怒っていないのは丸分かりである。

「ゆっくりしてる暇はない」

楓が車を出発させる。

ティーナさんはいつのまにか助手席に戻っていた。

刹那も俺の隣に座るのだが、いつもどおりに戻っていた。

先ほどよりも機嫌はよくなっているようにも見える。

「しかしよ、一体、どこまで行くんだよ?」

「まだ時間がかかる」

早朝から出ているわけだが、すでに昼を回っていた。

楓の言うとおり、時間がかかるみたいだ。
< 223 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop