第七世界
「ここだ」

里の中に唯一異質の存在だといってもいい。

眼前にあるのは下級の武家屋敷ではなく、大名級の武家屋敷だ。

「え？お前がここの出身？嘘だろ？」

「私が嘘を言っているように思えるか？」

誰かがこんな凄い屋敷を持っているのは話としては定番といえば定番であるが、目の前にすると驚くのも無理はない。

「楓がそう言うのなら、嘘でもねえんだろうな」

楓は何も言わず、大きな門の隣にある小さな扉に付属しているチャイムを押した。

しばらくすると、中から出てきたのは見覚えのある人物だった。

「あれ、佳那美の叔母さん？」

佳那美の叔母さんがいたのである。

刹那も同じく驚いているようだ。

「あなた達は、佳那美のお友達」

「何で、佳那美の叔母さんが」

「知り合いがお見合いする事になったから、確認がてらね」

あの距離を一人で来たというのか。

いや、吸血鬼の鬼のモードで来たのなら、何ら問題はないだろう。

それよりも、佳那美の叔母さんと楓の実家につながりがあったとはな。

「知ってたのか？」

「さあな」

楓は興味なさそうに答える。

まさかの、設定後付感覚ですか？

それでいいんですか？

楓の最初に出てきた面影も消えてるし、あるといっちゃある。

無理矢理、自分を納得させる。

しかし、佳那美の姿がないところ、佳那美自体とは繋がりがないと踏んでいいのか。
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