第七世界
「佳奈子、そこへ座りなさい」

佳那美の叔母さんもとい、佳奈子さんは身を震わせて、背後をうかがった。

「やだな。梓姉さん。私はちゃんと歓迎してあげたんじゃない」

梓さんという女性は四十くらいで髪を後ろで結い、着物を着ている。

「黙りなさい」

梓さんの威圧がこちらまで伝わってくる。

「はい」

中年の女性が正座させられてる光景は悲惨だ。

「あなたは、人様の客人を勝手に出迎えるというのですか?」

「すいません」

「後で説教です」

しかし、梓姉さんといわなかったか?

姉さんという事は、血のつながりがあるわけだ。

じゃあ、楓と佳那美は従姉妹に当たるというのか。

「お久しぶりですね。楓」

「お久しぶりです」

楓が頭を下げる。

「そちらの方は?」

「ティーナ=神崎といいます。此度はご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」

ティーナさんが間延びした言葉ではなく、はっきりと区切りをつけて挨拶をする。

「鷹威刹那」

それに引き換え、ぶっきらぼうに答える刹那。

「鷹威?」

眉をひそめる。

「母さん、彼らは危害を加えるような存在ではありません」
< 226 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop