第七世界
「楓、もしや、鷹威が何者なのか、説明をしていないのですか?」

「必要がありませんでしたから」

「今は必要となりましょう」

二人の間でわけの分からないやり取りが行われている。

今のある情報と状況を確認しよう。

鷹威は皆木家に何か起こす可能性があるらしい。

いや、皆木家に限らないだろう。

もしかすると、ヴァンパイアに関係するのか?

「立ち話もなんですから、家にお入りなさい」

梓さんは先を歩いていく。

「佳奈子、あなたは庭掃除です」

「ええ?」

「口答えは許しません」

「ひええん」

やはり、皆木家は人様に何かをやらせるのが好きらしい。

「鷹威恭耶君と言いましたかしら?」

「いや、言った覚えはないんだけど」

「そういえばそうね。あなたも佳奈子のお手伝いをしてもらえます?」

「えーっと、一応、客人だと思ってはいるんだけど」

「あなた、とても客人とは思えないほど、無礼ですから」

無礼レベルで言うなら、楓の次くらいに梓さんが来ると思うんだけどな。

「恭耶、君は本当に馬鹿だな」

「は、はあ?何がだよ」

「彼女が私の母親だという事を忘れている」

「まさか」

人の心を読む事が出来るのか。

「ふふ、佳奈子、あなたは部屋に戻ってなさい」

「やった」

佳奈子さんはさっさと家の中に入っていった。
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