第七世界
「ティーナ、どけ」

仮面の男は呟く。

「何で、私の名前を知ってるのー?」

「知る必要はない」

仮面の男が動いた。

獲物を駆る獣のような速さで、二人の前に立つ。

「すまない」

ティーナさんがメスを振るう前に、鳩尾に一撃を組み込む。

ティーナさんが地面へと倒れる。

「まだ懲りないのか」

「雷鋼拳」

五射穿孔よりも速い、雷のように見えない拳が楓を打ち抜いた。

力を一撃に集中させたからこそ、スピードも威力も上がっているというのか。

「が」

楓が倒れそうになったところで、佳奈子さんが上空から襲いかかる。

それを華麗に回避しながら拳を打ち込み、後方へと飛ばす。

そして、再び歩き出し、刹那の元に寄る。

「今回ばかりは、お前の願いは聞いてやれない」

仮面の男が手を伸ばそうとしたところで、俺が腕をつかむ。

「待てや、こら」

痛む体を立ち上がらせた。

「絶対に、連れて、行かせねえつってんだろうが」

「そうか」

攻撃の手を緩めるつもりはないらしい。

仮面の男の突きが放たれる。

しかし、それを受け止めたのは梓さんであった。
< 231 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop