第七世界
刹那、仮面の男の仮面に皹が入る。

そして、右目の部分が欠けて落ちた。

考えを改めなおしたほうがいい。

吸血鬼の力というものは恐ろしいのだろう。

咄嗟に仮面の男は片手で抑える。

何故、隠した?

見られてはならない何かが、仮面の下には存在するのか。

まだ勝機はあるのか。

しかし、体が動かない。

新しい力があれば、話は別だ。

「新しい力?」

そういえば、仮面の男が何か言ってなかったか。

自分の力をコントロールできていないとか何とか。

「コントロール、だあ?」

お前、何の説明もなしにパソコン組み立てろといわれてるのと同じだぞ。

やり方がわからないんだから、どうしようもない。

「あなた、立てますか?」

梓さんが口元に血をたらしながら、こちらを見ている。

「立てねえ」

「男なら、一矢報いなさい」

「無茶、言うなよ」

すでに六発食らっている。

「そもそも、梓さんが傷ついてまでやる事なのか?」

「人様の敷居に無断で入る事は許しておけません」

普通の人間なら死んでいただろうな。

くそ、期待の眼差しが痛いぜ。

コントロールできるなら、最初からやってる。
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