第七世界
「だから、それを理解したから、何だって言うんだよ?」

「あなたは鷹威一族の中でも丈夫な方なのでしょう。ならば、私に出来る事があります」

梓さんはダメージのある体に鞭を打ち、立ち上がる。

「今からあなたを吸血鬼にします」

「おいおい、嘘、だろ?」

「片鱗を見せないのならば、無理矢理作り出すしかありません。後はあなた自身の力でどうにかなさい」

笑顔で伝える梓さんが怖い。

しかし、むちゃくちゃだ。

「俺は、良しと言ってねえぞ」

「あなたは彼女を救いたいのではないのですか?」

「そりゃあそうだがよ。吸血鬼になったら、戻れないじゃないか」

「鷹威の血を信じなさい」

「俺は一度ティーナさんの命を削ってまで、人間に戻ったんだぞ?その時は鷹威の血は発動しなかったぞ」

「知っているのと知っていないのとでは、また違います。そして、未熟なあなたが悪いです」

「ちくしょう」

「私では勝ち目がありません。しかし、あなたならば可能性はあります」

「そんな付け足したような設定で、何とかなると思ってるのかよ!」

「何とかなさい」

楓よりも厳しいぞ。

「あの子はあなたを甘やかしていたようですね」

「人の心を覗くなよ」

梓さんが俺に近づく。

「さあ、やりましょう」

「ちょっと待て。洗脳とかあるんじゃねえのか?」

「心配ありません。あなたはそんな下位の吸血鬼にしませんよ」

「どういう意味、だ」

梓さんが俺の首筋に噛み付いた。
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