第七世界
血の吸われる感触に、何かが注入される感触。

「ぐ」

それが数十秒続くと、梓さんが口を離した。

「鷹威一族の血は美味ではありませんね」

梓さんは座り込む。

そして、俺の体に異変が起こる。

傷が治っている。

「あなたは私達の一族と同じになりました。夜の時間では治癒力も高まっているのでしょう」

「これじゃ、嫌でも戦うしかねえじゃねえかよ」

「その割に、嫌そうな顔はしれませんね」

「礼だけは言っておくぜ。ありがとうよ」

俺は敵を見据える。

「勝てる保証は、皆無だぜ」

肩を廻し、精一杯の力で地を蹴った。

いつもよりも早く風を切り、前へと進んだ。

辿り着いた先は屋敷の廊下。

そこにいたのは、倒れている楓にティーナさんと佳奈子さん。

そして、仮面の男に抱えられた刹那だ。

「吸血鬼となったか」

仮面の男の仮面が新しくなっている。

どうしても、素顔を見せるつもりはないようだ。

「なる気はなかったけどよ、どうしてもテメエだけはぶん殴らねえと気が済まねえ!」

拳を握り閉め、戦う準備を行う。
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