第七世界
「俺の世界の刹那は死んだ。いや、死ぬ運命は必須だったとでも言おうか」

「何?」

「刹那の体に鷹威の血は負担がかかりすぎる。成長を止めているのもそのせいだ。一種の先天性の病のようなものだ」

「鷹威の血が原因か」

最初から不幸を背負っていたっていうのかよ。

「吸血鬼になるのも刹那では不可能だ。体がもたない」

「俺がいけるのは?」

「お前の取柄はタフという点だ。それが功を奏した」

「何にせよ、厄介だぜ」

普通の学生生活を送りたいだけなのによ。

「俺の世界に来た俺もまた、刹那を救えなかったのだろう」

「救う方法があるっていうのか?」

「ある」

「なんだよ、それは?」

「吸血鬼の真祖たる存在。その力を与える」

「でも、さっき、吸血鬼にはなれないっていったよな」

「真祖たる吸血鬼とそこらの吸血鬼を一緒にしてはいけない。真祖は根底を覆す力を持つ」

「俺よりも強いお前が何とかすればよかったんじゃないのか?」

「お前が邪魔をしたからだが、それをしなかった理由もある」

「何?」

「俺はこの世界の人間ではない。真祖を屈服できるのはこの世界の人間だけだ」

多分、俺の世界に来た『俺』は、俺に新しい技を開発させるために色々技を仕掛けたのかもしれない。

真祖を屈服させるためにな。

基礎的な事は俺を凌駕していたが、『俺』にはそれが出来なかった。
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