第七世界

遺伝

「く」

障子の向こうから光が差し込んでいるようだ。

朝を迎えても、気分は変わらない。

いや、更に気分が悪くなっているといってもいい。

朝のせいなのか、血を摂取していないせいなのか。

それとも、両方なのか。

「こりゃ、吸血鬼の状態も楽じゃねえな」

解っている解決方法は人間の血液を摂取する事だ。

後は、定かではないが自分の血を覚醒させる事。

その方法さえわかればいいんだがな。

「恭耶、起きてるん?」

刹那は襖の向こうから少しだけ顔を覗かせる。

「気分は最悪だけどよ」

「顔、青白いで」

「今、最悪の状態なんだよ」

「何があったん?あの男は、どこに行ったん?」

刹那も気になってはいるようだ。

「あいつは、消えたよ」

「何もせんと、か?」

「深くは知らねえよ」

「そないか」

刹那に説明するとややこしくなる。

それに、自分でも混乱してるのに、説明出来るかよ。

「それより、あんた昨日風呂入ってないやろ?」

「こっちはそれどころじゃねえと何回言えば解るんだよ」

「あかんあかん、ばっちいのは許さへんで」

「ち、ちっとは俺の容態を気遣うとかねえのかよ」
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