第七世界
「ほら、さっさとおき」

起きようとしても、力が入らない。

「どないしたん?」

「お前は、何度言わすんだよ」

息も荒くなってきた。

再び横になる。

「今日は寝かせてくれよ、こちとら、いつもの状態じゃないんだ」

「そうは行かないな」

昨日とは違う私服の楓とティーナさんが入ってくる。

「なんだよ」

「君は何の目的でここに来たのか、解っているのか?」

「そういえば、何だっけ?」

「私の恋人役になるという約束じゃないか」

「お前、非道すぎるぞ、それは」

梓さん、楓たちには何も話してないのか。

「ほら、身だしなみを整えたまえ」

「楓、刹那ちゃん、ちょっと部屋を出てもらえるかなー?」

ティーナさんが俺の傍に寄ってくる。

やんわりとした表情ではあるものの、真剣な声だった。

その気持ちを汲み取った楓は刹那を連れて部屋を出て行った。

「どうしたんだよ?」

「恭耶君、また、吸血鬼になったんだねー?」

ティーナさんにはわかっているようだ。

「仕方がなかったんだよ」

「何があったのー?」

「こればかりは、話せそうにないぜ」

誰に聞かれるかわかったものじゃない。
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