第七世界
「これからも、ずっと、それで行くのー?」

「わからねえ。けど、治すさ」

「保証は、ないんだよー?」

ティーナさんは鷹威が吸血鬼を殺す一族だという事を知らないのか。

いや、そもそも、吸血鬼を殺す一族の血が吸血鬼の血をどうにかするという情報は本当なのかどうなのかという確証もない。

「ティーナさん、俺は今回、ティーナさんの力なしで吸血鬼の血をどうにかしなくちゃならねえ」

「そんな方法があるのー?」

「このままでいるわけにはいかねえんだ」

相手は吸血鬼の大元である真祖だ。

吸血鬼をどうこうしようとする力があるかもしれない。

その時に吸血鬼で行くなんていうのは馬鹿げた話だ。

「今日は動けるかどうかは、わかんねえけどよ」

「私が、楓に言おうかー?」

「無理矢理とはいえ、約束は約束だろ」

やるしかないんだよな。

「無理しちゃ、駄目だよー」

「そう言ってくれるのはティーナさんだけだな。でもよ、昭和の人間に無理って言葉はねえんだぜ?」

俺は地面に拳をついて、フラつきながらも立ち上がる。

立ち上がるのも無理矢理すぎて、千鳥足になる。

「恭耶君」

「ふう、とりあえず、風呂、入ってくる」

壁に手をつきながらも、廊下を歩いていく。

廊下の先には、赤の着物を着た梓さんが立っていた。

「正念場ですね」

「本当かよ?」

「あなた次第ですね。それよりもあなた、楓との見合いをどうこうしようとか思っているのですか?」
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